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7/18 伊トレビソ in 2005

「ベネトンの町で」

 今日はイタリア北東部のトレビソへ。ここは UNITED COLORS OF BENETTON あの「ベネトン」のふるさとです。現在は名誉会長となったルチアーノ・ベネトンはこの町で生まれファミリーで事業を拡大。町の郊外には巨大な縫製工場や配送施設などがあります。ところで FABRICA 「ファブリカ」ってご存知でしょうか?「ファブリカ」は、クリエイティブディレクターとしてベネトンの広告宣伝の指揮を執り評価を受けた写真家オリビエーロ・トスカーニ(2000年辞任)とルチアーノ・ベネトンが94年に創設した、デザインや写真、映画制作などクリエイティブのための学習と交流と創造の場所です。ラテン語でワークショップを意味する言葉に由来する「ファブリカ」もここトレビソ近郊にあり、本日私たちはこの施設を訪問いたします。施設建物の拡張修復をしたのは建築家安藤忠雄ということで建築デザイナーのジュリアナちゃんも一緒です。

 さてこの「ファブリカ」ですが、ベネトン ジャパンのホームページには「ベネトンのコミュニケーション・リサーチ・センター」と称されています。「何だそれ?」という感じですが、世界中から若いクリエイターを集め実践学習の場を与えつつ、彼らが生み出す新しいアイディアを実際のベネトンの宣伝広告やイメージにも活かしているのです。ちょっと往年のバウハウスのような感じですね。グラフィックデザインや写真、音楽、映像&シネマ、出版(COLORS誌)など8つの部門に分かれていて、言語や文化の異なる若者たちが集まり自らのクリエイティビティーに磨きをかけています。現在は50人のスタッフ(実際にベネトン広告に関わっている仕事人たち)と50人の研修生(スタッフのもとで修業中の人たち)がいるそうです。一番新しい部門にニューメディア(ウェブ)がありますが、今日はこの部門のディレクターの Andy Cameron(アンディ・キャメロン)氏に会います。アンディとS君は古くからの友人、つもる話もあるようです。

 アンディの計らいで、まず 「安藤作品」である建物内をクリエイティターのひとりであるダニエル君(南ア出身)が案内してくれました。元々は豪農の納屋と馬屋だったという建物。それぞれの部門ごとにワークスペースが広く、光あふれる図書室の窓からは外庭に立つ美しいピラーが見えます。建物の中央は円形劇場のような広場になっていて、その回廊を歩いていると透明な巻き貝の中にいるような感じです。また地中美術館(香川県直島町)のように大きな階段だけの閉じ込められた空間もあり、どの場所にいても何かパフォーマンスができそうな、何かの舞台であるようなドラマチックな建物です。「こんな創造性を鼓舞するような場所で学んだり仕事ができるなんて素敵だね!」思わず私がいうと「んー、でも最大限には使われてないっすよ。かっこいい所に居るのはわかってるんだけど皆な自身の課題やっつけるので手一杯で、自分のデスクまわりをうろうろするだけなんで」とダニエル君。

 そうなのかぁ、もったいない!

 美しい空間のなかにいるという恵まれた状況もそれが日常になってしまうと感動が薄れてしまうということなのでしょう。使う側がそこにある空間とどう向き合っていくのか、建築との付き合いにはある意味「覚悟」が要るような気がします。「そこにあるもの」に対しての愛情や感動を持続するということ‥‥そのためにはまず「愛情と感動を持続していくのだ」という意識と意思と努力がいるような気がします。そしてそれは対建築だけでなく、全ての人やものとの関係性においても同じなんじゃないかしらん‥‥そんなことを考えながら、光に満ちた美しい回廊でエスプレッソなぞ飲んでひと休み。とってもおいしいこのコーヒーは自動販売機のものでしたが‥‥。

    

      ここで「ファブリカ」で出会った、または再会した人たちのご紹介です。

                    ダニエル君   
南アフリカ出身のウェブ/インタラクティブクリエイター。ファブリカ滞在は4ヶ月め。    よくしゃべる。会話の中に彼の聡明さと知識の豊富さが垣間見える。そして繊細で優しい。
自分のジョークに「ぷっ」と吹き出してしまう癖あり。
                 ダニエル君のブログへ “link”:http://www.plankman.com/blog

                   児玉 潤二郎さん  
キャラクターコンテンツを基本にアニメーション、イラストレーション、ウェブなどの制作をするユニットtamasのメンバー。札幌を拠点に活動するクリエイターでファブリカへは研修で短期滞在。S君は前からお知り合いですが、私がお目にかかるのは初めてです。内面の清らかさがお顔にも!少年のようにきらきらしているのに、老練なマイスターのような落ち着きも。日本人のおだやかな美しさを持ちあわせた男性。
                ユニットtamasuのサイトへ “link”:http://www.tamas.tv/

                   久保 俊哉さん   
札幌市にあるクリエイターのインキュベーション施設 Inter cross Creative Center (インタークロス クリエイティブ センター)のチーフコーディネイターで私たちの大切な友人。ファブリカへは視察で。私はただただ再会が嬉しくて!としさんはあったか〜い人。信じるものがあって、とにかくかっこいい。
                 札幌ICCのサイトへ “link”:http://www.icc-jp.com/

                  アンディ キャメロン氏   
ファブリカのニューメディア(ウェブ/インタラクティブ)部門のディレクター。クリエイターたちには「教授」と呼ばれている。S君とは古くからの友人ということでツーショット。おおらかな自由人という印象。彼の発想のスケールが大きくて話しをしていて楽しい人。
                  「ファブリカ」のサイトへ “link”:http://www.fabrica.it/

                そして最後にジュリアナちゃんと!   
ファブリカを見学した後ジュリアナ嬢は列車でミラノへ帰りました。安藤建築については
「ふぅ〜む」とうなっただけで深い感想は何もいっていなかったなぁ、そういえば。
お気に召さなかったかな。
                ジュリアナちゃんのサイトへ “link”:http://www.julianajuice.com

 

 さて、この日は建物内のツアーだけでアンディ・キャメロン氏とのミーティングは後日ゆっくりということになり「ファブリカ」を後にした私たちはトレビソの町の繁華街をお散歩しました。城壁に囲まれた美しいこの町は、「ベネトン」など地元企業の好調のおかげなのでしょうか、「余裕がある」という印象です。町行く人々ものんびりと優雅な感じ、すっかり気に入って私たちはこの日から5日間滞在しました。ベネチアまでも電車で20分なので、水の都訪問の際はホテル代が高めのベネチアよりもここトレビソに宿を取り拠点にするのをおすすめいたします!
(写真はトレビソにある中華料理店「香港楼」のみなさん。ぶらっと入ったお店でしたがスーラータンがとてもおいしかった。)

尚「ファブリカ」建物内の様子は↓で

  fabrica/treviso ファブリカ




©2005~11 Yoko Kobayashi-Baker